どうもShimaです。
「順位戦C級ウォッチング」第八回ということで▲神谷広志七段△船江恒平五段の対局を紹介します。
船江五段は気鋭の若手居飛車党。
電王戦に出場したこともあり既に皆さんご存知でしょう。
対する神谷七段は力戦形を好む振り飛車党。
4手目△3三角をはじめとした形に拘らない戦型選択・指し回しが特徴的です。
本譜も序盤早々に前例の殆ど無い順を採用し、力戦に持ち込みました。
居飛車の囲いが窮屈で既に振り飛車の模様が良さそうに見えますが、
振り飛車側も角や左辺の銀桂を捌くのに苦労する形。
決定的な序盤の差となるかどうかはここから数手の駒組み合戦にかかっています。
10手ほど進んで第2図。かなり居飛車側の駒組みがほぐれました。
ここで△1四歩と挨拶するのも自然な手ですが、
船江五段の指し手は「現代将棋といえばこの一手」と言えるものでした。
「隙あらば穴熊」が現代将棋の重要キーワード。
△1二香と穴熊を目指すのは最早当たり前といえる一手ですね。
更に10手ほど進んだ局面が第4図。
ここからの手順が実に奥深いものがありました。
△5六歩▲5八歩△8六歩▲同歩△8五歩▲8三角△8六歩▲8八歩
△4四歩▲7四角成△5三飛▲6八銀△4五歩▲同歩△3一金寄
15手もまとめて進めましたが、是非見ていただきたいのは船江五段の指し手。
最初の△5六歩から△4五歩まで指した7手のうち、実に5手が歩を進めて攻める手。
それだけ歩を突き捨て、継ぎ足し、再び突き捨てとやるだけやっておいて、最後にじっと△3一金。
嫌味さえ付けておけば、あとは相手に動いてもらった方が堅さが生きやすいということでしょうか。
難しいですね。
第6図は最終盤、居飛車が優勢の局面。当然ながら龍を逃げる手はありません。
△5三銀成とこちらを取るのが急所の一撃。
次の△4七成銀と銀をはがしつつ金を引っ張りだす手が非常に厳しいですね。
以下数手にて船江五段の勝ちとなりました。
居飛車側の玉の固め方が実に現代的で、参考になる一局だったと思います。