C級1組 第5節

どうもShimaです。
「順位戦C級ウォッチング」第六回ということで▲佐々木慎六段△富岡八段の対局を紹介します。

佐々木慎(まこと)六段は粘り強さが身上の振り飛車党。
とにかく長手数の将棋が多く、自陣の手の入れ方が上手な「The・振り飛車党」という印象があります。

対する富岡八段は以前紹介した通り居飛車党の棋士ですが、
相振り飛車を指されることも少なくありません。
本譜も佐々木六段の先手中飛車に三間飛車で対抗する作戦を選択しました。

第1図

相振り飛車にされるとあまり分が良くないと思われていた初手▲5六歩ですが、
図のように左側に玉を囲う、所謂「左穴熊」が有力視されたことで復活傾向にあります。

対する左穴熊対策はいまだ確立されておらず、様々な工夫が試みられているのが現状です。
本譜は穴熊が完成する前に速攻を仕掛けました。
先手は穴熊が未完成である上▲3八金と金が離れていますが大丈夫でしょうか。

第2図

20手ほど進んで第2図となりました。
▲8八銀とハッチを閉める手は入っていませんが、なんとか戦いを起こすことなく固めることができました。
さあここから、と思われたところで指された図の▲3三歩が鋭い一着。
これは取るしかありませんが、△3三同桂は▲3四歩、△同角や△同金は▲4五桂の両取りがあります。

第3図

第2図から△3三同金▲4五桂△6二銀と進み第3図。
喜んで▲3三桂成としてしまうところですが、▲8六角!という妙手がありました。
次に▲5三桂成として、あくまで6二の銀と交換しようという狙いです。
受けるなら△6四歩ですが、▲5四歩と垂らされて受けに窮します。

第4図

いくら駒得になるといっても、遊び駒を取っても大したことはありません。
玉に近い側の金銀をはがす事が確実なダメージとなるのですね。

こうしてペースを握った佐々木六段が終始リードを活かした指し回しを見せ、見事に勝利を収めました。
プロフェッショナルな振り飛車党の大局観が光る一局だったと思います。

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